社員の生成AI利用ルールは?会社を守る「生成AI時代の労務リスク防衛策」
最近、社内で「ChatGPT」などの生成AIの話題が出たことはありませんでしょうか。「業務効率化のために使ってほしい」と考える一方で、「情報漏洩などは大丈夫だろうか」と漠然とした不安をお持ちの場合も多いかと存じます。
特に従業員数が多くなると、経営陣の指示がなくても、現場の判断で勝手に無料の生成AIを業務に使い始める「シャドーIT」が多発します。
■生成AIとは
生成AIとは、学習したデータを基にして、新しいコンテンツを創造し、生成できる人工知能技術です。これらを用いて、業務の効率化や、新規ビジネスの開拓など、様々な分野でこれらを活用することが期待されます。
生成AIを導入することで、業務の効率化、生産性の向上がおおいに期待されます。ルーティンで発生する業務については効率化させることで、人は、単純作業から解放され、他の業務に時間を使うことができます。これにより、コスト削減の効果も期待できます。また、生成AIは新たなコンテンツを創造するところに特徴がありますので、人間の創造性を助け、新しいアイデアをもたらし、人間の創造性を促進させ、拡大することで、新たなビジネスやソリューションに繋がるということもメリットといえるでしょう。
生成AIの活用は、企業にもおおいに貢献する可能性がある一方で、その利用方法を誤ると、情報漏洩の原因にもなります。そのため、適切な対策を講じた上で、リスクを抑えて利用するということが必要です。
【放置することで起きる3大労務・法的リスク】
1. 機密・個人情報の漏洩:顧客データや未発表の企画書を生成AIに入力すると、AIの学習データとして外部に流出する危険があります。
2. 著作権・コンプライアンス違反:AIが生成した文章や画像をそのまま商用利用し、他社の権利を侵害してしまうケースです。
3. 隠れ残業と労働時間の曖昧化:自宅でAIを使って業務を行うなど、管理外の労働(サービス残業)が横行する要因になります。
ここで重要なのは、「全面禁止」にするのは逆効果だということです。禁止すると社員は隠れて使うようになり、リスクが潜伏します。
必要なのは「禁止」ではなく、
「生成AI利用ガイドラインの策定」と
「就業規則(秘密保持・懲戒規定)との連動」
です。
「どんなデータの入力がNGか」「違反した場合はどうなるか」を明確なルールとして提示することが、会社と社員を双方守る最大の防衛策となります。
そのためには、社内ルールを明確にしてガイドラインを定めることが必要です。
ガイドラインを作成し、労働者にその内容を周知することで、情報漏洩のリスクを低減させることができます。ルールとして、入力可能な情報の範囲を明確に定めること、企業の機密情報の取扱い方法を明確に定めることは必須でしょう。企業内で、適切な運用を実現する、ガバナンス体制も策定する必要があります。
生成AIの技術革新は非常に早く、社内で定めたルールも、適時にアップデートする必要があります。
生成AIの利用時に、情報漏洩を起こさないための基本的な留意事項として挙げられるのは、機密情報をプロンプトに入力しないということでしょう。また、使用するシステムによっては、入力したデータを、AIが学習しない設定(オプトアウト)を行うことができますので、そのような設定を行うことも有効でしょう。
また、生成AIのシステムの中には、情報セキュリティの点を重視して開発されたシステムもありますので、そのようなツールを選択して、導入するなどの対応も考えられます。
生成AIを具体的に活用するのは、従業員一人ひとりです。そのため、技術的な対策、セキュリティ重視のツールの導入といった対応だけでなく、利用者が正しく理解することが、セキュリティ対策の一歩であるということもいえます。生成AIの利用に関して、研修を実施し、生成AIの仕組み、情報漏洩が発生する可能性のある具体的な行動などを教育し、あわせて適切な活用事例などを従業員と共有することで、情報漏洩を防止することがおおいに期待できるといえるでしょう。
生成AIは、これまでにはなかった新しいツールであり、おおいにその活用をすることが期待される一方、新しい仕組みである以上、従来の情報セキュリティ規程では対応しきれません。生
成AIに特化した社内ルールを策定し、あわせて、技術革新のスピードにあわせて、社内のルールもアップデートしていくことが求められます。
(新日本法規出版一部引用)




